ジョー・ドン・ベイカーの巻
Joe Don Baker

「お前と組めばアメリカ中のマフィアを敵にまわしても生き残れるぜ!」とロバート・デュヴォル談

ジョー・ドン・ベイカー いよいよ登場のジョー・ドン・ベイカーが最もカッコ良さを見せたのが、ハードな男達の絆を描いて絶品ジョン・フリン監督最高作「組織」です。

ロバート・デュヴォルと組んで、仲間の仇( デュヴォルの兄 )をうつために、とことん戦い抜く姿には感動! アクション一筋の私にとって、ベストとも言える内容でした。 組織のボス( ロバート・ライアン)と最後の決戦に向かう時、デュヴォルが「もう手を引いても良い」と言うと、不吉な予感に襲われながらも「乗りかかった舟だ」と命を預けるのですが、この辺も大好きなジョゼ・ジョヴァンニジャン・ピエール・メルビルの世界に通じるものがありグッときます。 ラストの、傷つきながらも作戦通りに逃げ切って初めて心の底から笑うシーンでは、見ているこっちまで、こんなカッコ良い奴等が死ぬわけがないさ、と拍手喝采と共に、生き残ったことにホッと胸を撫で下ろすほどの入れ込みようでした。

デュヴォルの恋人役で、彼女ならではの哀れさをみせてくれるカレン・ブラックも忘れられない存在でしたし、車の調達先でジョーに色仕掛けで迫ってくるシェリー・ノースのインフォマニアぶりもインパクトあり、その義兄役リチャード・ジャッケルはインパクトなし! デビュー間もないジョアンナ・キャシディがボスの若妻役で。

ここまで一気にきましたが、大好き「組織」に出演のジョー・ドン・ベイカーとの思いが強く、この先もかなり美化した評になることを述べて、のキャリアを書き進めます。

「組織」以前では、「暴力脱獄」「新・荒野の七人/馬上の決闘」と出演、ベトナム帰還兵が故郷に戻っても居場所を見つけられず、再び戦うことにアイデンティティを求めてしまう若者達の姿を描いた、ニューシネマ的作品「ソルジャー・ボーイ」では堂々の主演でした。 ほとんど話題になることもなかった作品で、かく言う私も見逃していたので、ビデオを発見した時は思わず購入しちゃいました。 小品ながらも結構気に入っている作品で、ポール・コスロが戦友役で出ています。

その後は、サム・ペキンパーのアナザーサイドとも言える「滅び行くものへの哀歌」を描いた「ジュニア・ボナー」、そして、マニアの間ではジョーの名を不動のものにした「突破口」への出演となるのです。 この「突破口」は、ご存知の通り、ドン・シーゲルの傑作アクションですが、あの「ダーティハリー」で史上最高の犯罪者ヅラを持つ男と言われたアンディ・ロビンソンを、薄ら笑いを浮べながらなぶり殺しにする殺し屋役を演じて、全世界のアクションファンに強烈な印象を与えました。

大傑作「組織」後では、小さな島に置き去りにされて野生化した犬が、群がって人間を襲い始める「怒りの群れ」、妻子と共に故郷に戻ったプロレスラーが、地元の犯罪組織相手に正義の戦いを挑むカントリー・アクション「ウォーキング・トール」とマニア受けする作品を連発しましたが、私としては次第に太り過ぎてきたのが、心配の種でもありました。

ロバート・レッドフォードが数奇な運命をたどった大リーガー、ロイ・ホブスの生涯を描いた「ナチュラル」では、若きホブスに三振を喰らう大リーガー役、チェビー・チェイスが事件記者に扮したしゃれたサスペンス「フレッチ 殺人方程式」の悪徳署長役、とこの辺までは良かったのですが、役柄とはいえ、短足が不評だったティモシー・ダルトン版ジェイムズ・ボンド「007/リビングデライツ」にデブデブになっての出演にはがっくりでした。 ただいたずらに太って、見せかけの貫禄に頼ることのないようにと祈ったのですが、こちらの思いとは裏腹に007の常連となっているようです。

その他、そこそこ楽しめるサスペンスものに出演作があるので簡単に。

刑事役のジョーがあっさり撃ち殺されて、ちょっとがっかりだったのが、ゲーリー・オールドマンが弁護士に扮した「クリミナル・ロウ灰色の容疑者」です。 オールドマンがくどくない分まあまあ楽しめるデキで、サイコ犯役にケビン・ベーコンカレン・ヤングの気丈さが救いになってます。

ステーィブン・ソダバーグ監督のミステリー「蒼い記憶」では、謎めいた会社のボス役で出演。 過去を断ち切れず悪の世界に踏み込もうとする男をピーター・ギャラガーが演じています。役者が地味なんで注目されてませんが、ヒネリの効いたミステリーに仕上がっていて、エンディングショットとなるジョー・ドン・ベイカーの無気味さが余韻となっていました。

こんな感じで、個人的思い入れの強い分、期待も多かったジョー・ドン・ベイカー編も幕になりますが、最後にどうにも納得いかなかった最悪カーアクションもの「アドベンチャー・ラリー」アラン・ギブソン監督にF××K YOUだ! スーザン・サランドンとの夢の共演だったのに・・・。

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