ウリハダカエデ Acer rufinerve (ムクロジ科 カエデ属
ウリハダカエデ葉は5角形で、3脈が発達する
若い枝は粉白色であることが多いウリハダカエデの冬芽
葉の裏面脈腋には毛が残る
 ウリハダカエデは本州から九州に分布する落葉高木。丘陵地帯から山地の明るい夏緑樹林に生育する。斜面下部や谷筋などに多い。若い樹木の樹皮は緑色であり、縦に濃緑色の筋が入る。和名はこの樹皮をマクワウリに例えたもの。成木ではコルク質が発達し、白褐色〜褐色となるが、樹皮の割れ目の形は若木のときのイメージが残っている。

葉はカエデの仲間では大きく、長さ10〜15cmで質はやや厚い。3脈が目立ち、基本は3裂であるが、若木ではわずかに5裂する。紅葉は黄色から赤褐色となる。若葉では褐色のちじれ毛があるが、その後ほとんど脱落し、裏面脈上と脈腋にわずかに残る程度となる。枝は無毛で、若枝の先端は白粉を帯びて粉白色を帯びることが多い。
ウリハダカエデの雄花序雄花序の拡大稔った若い果実
葉裏に隠れた果実羽のある果実
ウリハダカエデの雌花ウリハダカエデの雄花
 ウリハダカエデは雌雄異株(まれに同株)。花は5月頃に咲き、前年枝から一節の若枝をのばし、1対の葉の間から花序を伸ばす。花序の長さは5〜10cmほどで、十数個の花が付く。花弁は5枚で黄緑色。雄花の花弁は長さ5mm、雌花では3.5mm。雄しべは8本で、雌花にも退化したものが8本ある。果実は夏に稔り、翼があって風で散布される。花時には花序は垂れ下がっているが、果実の稔った花序はやや起きあがって葉の下に隠れている。

広島 宮島のウリハダカエデ
ウリハダカエデの紅葉広島 宮島のウリハダカエデ
 ウリハダカエデは黄色からやや朱色を帯びただいだい色、日当たりの良い場所では鮮紅色に紅葉して美しい。広島の宮島では、ほとんどの樹木が常緑樹である中で美しい紅葉を見せてくれる。宮島にはニホンジカが生息しており、食料となる植物は食べられてしまう結果大変少ない。そのような環境の中でウリハダカエデが点々と生育している状況から見ると、ウリハダカエデはシカに食べられにくいのであろう。

若いウリハダカエデの樹皮大きくなって灰褐色に近くなった樹皮成木の樹皮:コルクが発達し、縦に大きな割れ目と直交する小さな割れ目が特徴
 ウリハダカエデの名前は、樹皮がウリに似ていることによる。若木の樹皮は薄い緑色の地に濃い緑色の縦筋がめだつ。太くなるにつれて地の緑色は淡褐色に変わり、やがてコルク質が発達して淡灰褐色となってウリとは全く異なった質感になる。ウリの樹皮だけを憶えてしまうと大きなウリカエデの同定ができなくなってしまう。大きな木の樹皮は、縦の割れ目に直交する縮緬状の小さな割れ目が特徴である。
                                                                              
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