太陽光パネルのトレンドと世界的な需給について解説!

再生可能エネルギーの一種である太陽光パネルについて、普及とトレンド、世界的な需給、そして今後の展望について解説します。

太陽光パネルは、石油や石炭などの化石燃料とは異なり、再生可能なエネルギー源として注目されており、技術の進歩とコストの低下によって世界的に急速に普及しています。本記事では、太陽光パネルの普及と仕組み、需要と供給の変化や影響要因、世界的な需給の見通しや日本における将来展望などについて解説しています。

目次

  1. 太陽光パネルの普及とトレンド

  2. 太陽光パネルの需給の変化と影響要因

  3. 世界的な需給の見通しと将来展望

  4. まとめ:今後も太陽光パネルのトレンドに注目しよう!

1. 太陽光パネルの普及と概要

太陽光発電を行う太陽光パネルの注目理由とその仕組みについて解説します。

(1)太陽光パネルがなぜ注目されているのか

太陽光パネルが近年注目されている理由は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料とは異なり、再生可能エネルギーの一種だからです。

石油などのエネルギーは、地球上に限られた量しかなく、作るのにも長い時間がかかります。また、化石燃料を使って電気を作るときには、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などの温室効果ガスが排出され、温室効果ガスの影響で、地球の温度を上げて気候変動を引き起こす原因になります。

このように、化石燃料は使えばなくなり、地球にも悪影響を与えるエネルギーであるため、再生可能エネルギーが注目されています。その中でも太陽光パネルが特に優れたエネルギー源として注目されている理由は、どこにでも設置でき、メンテナンスも少なくて済むためです。

また、太陽光パネルの技術が大幅に改善され、コストも減少しているほか、リサイクルを低コストで効率的に行うことができれば、資源が有効利用される可能性も示唆されています。そのため、今後、より太陽光パネルが普及すれば、地球にやさしく安定した電気が得られるようになると考えられます。

出典:経済産業省資源エネルギー省『2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題』(2018/07/24)
出典:環境展望台:国立環境研究所『太陽光発電 - 環境技術解説』(2016年7月)

(2)太陽光パネルの仕組み

太陽光パネルの中には、小さな板がたくさん並んでいます。 この板は「太陽電池」と呼ばれ、半導体という電気を流すことも止めることもできる特別な材料でできています。太陽電池には、電子(マイナスの電気)が多い方と少ない方があり、 太陽電池に光が当たると、電子が動き出します。 電子が多い方から少ない方に移動すると、電子の移動によって電気が発生します。

太陽光パネルは、この光電効果を利用して太陽の光を電気に変えています。太陽光パネルで作った電気は直流という種類の電気ですが、家庭で使うには交流という種類の電気に変える必要があるため、「パワーコンディショナ」という直流を交流に変え、かつ電圧や周波数を調整して安全に使えるようにする機械を使います。

出典:環境展望台:国立環境研究所『太陽光発電 - 環境技術解説』(2016年7月)
出典:東京電力「【図解つき】太陽光発電の仕組みを初心者向けにわかりやすく解説!」(2022/2/27)

2. 太陽光パネルの需要と供給の変化と影響要因

太陽光パネルの需要と供給について解説します。

(1)太陽光発電のコスト

太陽光発電は、再生可能エネルギーの中でもコストが下がりやすい電源とされています。現在急速な技術進歩によって、コストが大幅に下がることが期待されています。コストが下がることで、太陽光パネルの需要がより高まると予想できます。

日本の太陽光発電のコストの現状と見通し出典:資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2021/12)p6

(2)太陽光発電で生まれた電気の売買制度

太陽光発電では、自分で使う電気や近隣に売る電気をつくることができます。この太陽光で発電した電気を適正に売買する制度として、FIT制度というものがあります。FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間固定価格で買い取ることを国が約束する制度です。

FIT制度の買取期間が終了しても、電気を自分で使用することができ、電気の節約につなげることができます。さらに、太陽光発電は大型電源として売電市場でも活用されることが期待されています。再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、系統制約や調整力の問題を解決するための新しいルールや技術が整備されれば、太陽光発電によってより多くの電気を供給できるようになります。これにより、太陽光パネルの需要を拡大することができます。

出典:経済産業省資源エネルギー庁『太陽光発電について』(2021年12月)
出典:経済産業省資源エネルギー庁『再エネの主力電源化を実現するために』(2018/05/15)
出典:IEA『Securing Clean Energy Technology Supply Chains』(2022/07)

(3)太陽光パネルの価格変動

太陽光発電の価格変動は、太陽光発電の原材料であるポリシリコンの需要と供給に影響を受けています。新たな鉱山を開発してポリシリコンの原材料を採掘するには長い時間が必要で、その間に需要が急増すると供給が追いつかず、価格が変動する可能性があります。2021年から2030年の間に、太陽光発電に必要な重要な材料の総需要は150%から400%増加すると予想されており、この需要の増加もポリシリコンの価格に影響を与える可能性があります。

出典:経済産業省資源エネルギー庁『太陽光発電について』(2021年12月)
出典:経済産業省資源エネルギー庁『再エネの主力電源化を実現するために』(2018/05/15)
出典:IEA『Securing Clean Energy Technology Supply Chains』(2022/07)

3. 世界的な需給の見通しと将来展望

世界的に太陽光パネルがどのくらいの電力を発電しているのか、またその将来展望について解説します。

(1)世界的な製造量と調達量

2022年末時点で、世界の太陽光発電システムの累積導入量は、少なくとも1,185GWでした(GWとは、ギガワットの略で電力の単位です。1GWは1000MW(メガワット)に相当します。これを日常的な単位であるW(ワット)に換算すると、10億Wとなり原子力発電1基分の発電量になります。例えば、日本の最大出力を持つ火力発電所である「浜崎発電所」は、約3GWの発電能力を持っています。また、東京電力の「柏崎刈羽原子力発電所」は、7基の原子炉を有し、最大で8.2GWの発電能力を持っています。)。

また、2022年には少なくとも240GWの太陽光発電システムが稼働を開始しました。2022年に年間導入量が1GWを超えた国は、少なくとも23ヶ国ありました。累積導入量が10GWを超えている国が16ヶ国(EUを除く)あり、このうち5ヶ国では40GWを超えています。中国が世界最多の414.5GW、欧州連合(EU27ヶ国)が209.3GWで続いています。

2022年の導入量上位国は次の通りです。

  • 中国市場:106 GW(世界市場の44%)

  • 欧州連合(EU):38.9G W

  • 米国:18.6 GW

  • インド:18.1 GW

  • ブラジル:9.9 GW

  • 日本:6.5 GW

以上の情報から、太陽光発電の世界的な製造量と調達量は急速に増加しており、特に中国がその中心となっていることがわかります。また、多くの国々が太陽光発電の導入を進めており、その中でも中国、EU、米国、インド、ブラジルが特に大きな市場を形成しています。

出典:国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協力プログラム『世界の太陽光発電市場の導入量速報値に関する報告書』(2023年4月)
出典:特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所「国内の2021年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報)」(2022/8/15)

(2)日本における太陽光パネルの将来展望

太陽光発電、風力発電、蓄電池の技術的進歩とコストの大幅な低下により、CO2排出量を削減し、2050年のカーボンニュートラル目標に近づくような、クリーンな電力を安価に発電する新たな機会が生まれています。日本は、クリーンエネルギーによる発電を、2019年度の24%から2030年度に59%まで増加させる短期的な目標を掲げています。

太陽光発電は、日射があるかぎり発電が可能であり、技術の進歩とコストの低下により、CO2排出量の削減とカーボンニュートラル目標達成に向けた重要な手段となっています。また、2035年までにクリーンエネルギーが発電電力量の90%を占めるという目標が達成されれば、電力コストの削減、輸入エネルギー依存度の大幅な低下、そして電力部門からのCO2排出の劇的な削減が可能となるとされています。

出典:BERKEREY LAB『2035年日本レポート 電力脱炭素化に向けた戦略』

4. まとめ:今後も太陽光パネルのトレンドに注目しよう!

太陽光パネルは、再生可能エネルギーの一種であり、近年注目を集めています。技術の進歩とコストの低下により、太陽光発電は世界中で急速に普及しています。世界の太陽光パネルの導入量は急増しており、特に中国、EU、米国、インド、ブラジルが大きな市場を形成しています。日本も、クリーンエネルギーによる発電を増やす目標を掲げ、太陽光発電は、技術の進歩とコストの低下により、CO2排出量の削減とカーボンニュートラル目標達成に向けた重要な手段となっています。

将来的には、太陽光パネルは、より多くの電力を供給できるようになることが期待されています。また、太陽光パネルが普及すれば、地球にやさしく安定した電気が得られるようになると思われます。

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