[Vol.1552] 銀相場、超長期視点で価格上昇か

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。80.20ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,945.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は13,270元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年10月限は632.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで997.8ドル(前日比6.30ドル縮小)、円建てで4,620円(前日比21円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月25日 18時07分時点 6番限)
8,980円/g
白金 4,360円/g
ゴム 211.7円/kg
とうもろこし 39,820円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銀先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY銀先物(期近) 月足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「銀相場、超長期視点で価格上昇か」
前回は、「太陽光発電と銀(シルバー)の関係」として、銀の太陽光発電向け需要について、書きました。

今回は、「銀相場、超長期視点で価格上昇か」として、銀価格の推移(長期)について、書きます。

世界で「脱炭素」が進めば進むほど、増加しやすいのが、銀の太陽電池向け需要だと言えるでしょう。「脱炭素」は超長期視点の世界的なプロジェクトです。地球環境の改善という、多くの人類共通の課題解決に向けた動きであるため、とん挫する可能性は低いと言えるでしょう。

超長期視点でとん挫しにくいテーマの上に、銀の太陽電池向け需要が存在しているわけです。このため、全需要の14%程度まで成長した同需要は、超長期視点でさらに増加することが予想されます。銀の需給バランスは超長期視点で引き締まりやすくなると、考えられます。

価格推移は、銀特有の「短中期的な荒さ」を伴いながらも、超長期視点では下値を固めつつ、徐々に上値を切り上げる展開になると、筆者はみています。

ここで想定している超長期視点の上値切り上げとは、1980年前後の特定の投資家の買い締めや、2010年代の米国の金融緩和や新興国の景気回復期待などの際に見られたような、短期的な急騰劇ではありません。息の長い、銀相場の上値切り上げ。超長期視点で期待したいと、筆者は考えています。

図:銀価格の推移(長期) 単位:ドル/トロイオンス
図:銀価格の推移(長期) 単位:ドル/トロイオンス

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。