メダルより大切なもの
メディアから消えた水泳選手といえば、シドニー五輪で銀メダルを獲得後、「金がいいですぅ~」と絶叫し、その後、女優に転身した田島寧子(36歳)だろう。
彼女は昨年11月、JOCが主催する交流イベントに登場し、久しぶりに公の場に現れた。
「OL生活を経て、結婚もしたようです。当時、水泳連盟に一言もなく女優に転身したので、両者の間には溝があったのですが、東京五輪に向けて、今後はPR活動に協力するのかもしれませんね」(スポーツライター)
長野五輪金メダリスト・ソルトレイクシティ五輪銅メダリストのモーグル選手・里谷多英(41歳)はいまもフジテレビに勤務している。
里谷は'99年にフジに入社し、人事部に配属された。'05年にはクラブで泥酔騒動を起こして謹慎、同年に会社員の夫と離婚した。
'13年に現役引退後は、同社の事業部に異動して業務に専念。現在は総合事業局イベント事業センター販売企画部に勤務しているという。
「人事部在職中は名刺の発注などの平易な仕事をしていましたが、いまはイベント関連の営業をしているとか。
系列局がモーグルの中継をしたこともありましたが、里谷さんはノータッチです。里谷さんは手足が長くてスタイルがバツグンで、社内では目立つ存在ですよ。
ただ他にもアスリートの社員もいますし、いまは平凡な平社員の一人。ちなみにまだ独身だと思います」(フジテレビ関係者)
長野、ソルトレイクシティ五輪に出場したスピードスケート選手・三宮恵利子(42歳)のセカンドキャリアは意外なものだった。27歳で現役を引退すると、レーシングドライバーに転身した。
「私はもともと無類のクルマ好きでした。19歳のときに、トヨタのセリカを購入しました。スケートの先輩たちもスポーツカー好きばかりでしたね。
橋本聖子さんはフェアレディZ、岡崎朋美さんはスカイラインに乗っていた。その姿を見て憧れがあったのかもしれません」
トヨタのヴィッツによるレースに出場してレーサーデビューを果たす。
「最高位は6位でした。あまり向いていなかったのかな(笑)。スケートほど勝ちに貪欲になれませんでした。でも、本当に楽しかった。
結婚して、2人目の子どもを妊娠するまでレースは続けましたね。いまでも運転は大好きです。とにかくマニュアル車に乗りたい」
夫はスノーボード選手だった長岡英明(42歳)。小学2年生と幼稚園生の娘2人とともに長野県・軽井沢で暮らしている。
「夫婦ともに元アスリートですが、自分たちの競技はやらせない考えです。それは、冷静に自分の子どもを教える自信がないから。『私の子供なのになぜできないの』となってしまうかもしれない。
私はこれまでは育児を優先してきましたが、今後は活動の幅を広げていきたい。茨城県のスケートのアドバイザーとして選手の指導を始めています。この6月からは日本自転車競技連盟の理事にもなりました。これは新しい挑戦ですね」
過去の五輪出場についてはこう振り返る。
「いまはPTAの役員をやったり、現役時代からは考えられない毎日です。もしメダルを取っていたら、『まだ続けたい』と言っていた気もします。
そうなっていたら、いまの充実した人生はなかったかもしれない。メダルがないことによって得られたものがある、と思えるようになりました」