エリトリアってどんな国? 地理や歴史、文化や有名なものをチェック【HugKum世界紀行】

エリトリアはアフリカ北東部にある国で、紅海に面して、スーダンやエチオピアと隣接しています。エチオピアに併合されてから1993年に独立した歴史があります。そんなエリトリアは、同じ国の中に多様な気候が存在する国。灼熱のエリアから、乾燥した地域など、さまざまな表情を持っています。エリトリアの基本情報から、どんな国なのかご紹介しましょう。
<画像:アスマラ市街 by Sailko , https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=46573463より>

エリトリアってどんな国?

アフリカ大陸の北東で、紅海に面しているのがエリトリアです。紅海の海岸線は1350㎞にも及び、さらに紅海には350以上の島もあります。そんなエリトリアとは、どんな国なのでしょうか?順番に見ていきましょう。

エリトリア基本情報

まずは、エリトリアの基本情報からチェックしましょう。

国名

エリトリア国

首都

アスマラ(Asmara)

場所

エリトリアがあるのは、アフリカ北東部。東側は1350㎞に及ぶ海岸線で紅海に面しており、南はジブチ、南西はエチオピア、北西はスーダンに隣接しています。

日本との時差

6時間(日本の方が6時間進んでいます)

面積

11.76万平方km
日本の総面積は37万8000平方㎞。エリトリアは、北海道と九州をあわせた広さとほぼ同じです。

エリア

エリトリアには6つの行政区画があります。

人口

550万人(2017年のアフリカ開発銀行のデータ)
日本の人口は1億2477万人(2023年1月1日時点)。兵庫県の人口は約547万人なので、エリトリアは兵庫県の人口とほぼ同じになります。

言語・公用語

ティグリニャ語、アラビア語、諸民族語

首都アスマラのメインストリート  World66.com, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=462110より

通貨

ナクファ(Nakfa)
1ナクファ=約8.9円(2023年2月17日時点)

宗教

キリスト教、イスラム教など

歴史

エリトリアは1890年からイタリアの植民地となり、第二次世界大戦中の1942年にはイギリス軍によって占領され保護領となりました。しかし独立を主張するエリトリアに対して、国連がエチオピアとの併合案を採択。1952年にエチオピアの1州として併合されました。その後、分離や独立を求める運動が生まれ、1993年に独立が宣言されました。

1890年 イタリアの植民地支配下におかれる
1942年 英の保護領となる
1952年 国連の決定により、エチオピアと連邦を形成
1962年 エチオピア議会がエリトリアのエチオピアへの併合を決議
1972年 エリトリア人民解放戦線(EPLF)を結成
1991年5月 EPLFがエリトリア臨時政府樹立を宣言
1993年4月 国連の監視の下、エリトリア地域の分離・独立を問う住民投票実施
1993年5月24日 エチオピアより独立
1998年5月 エチオピア・エリトリア国境紛争勃発
2000年12月 エチオピアとの包括的和平合意成立

エリトリアのコーヒー。コーヒー豆の産地としても知られる。
エリトリアのコーヒー。コーヒー豆の産地としても知られる。

天気・気候

エリトリアの国土は海抜が0~3000m以上にわたり、海抜によって気候が異なります。「2時間で3つの気候がある」と言われるのは、そのため。

・北東紅海地域・南部紅海地域
10月~5月の涼しい季節は25~32℃くらい、6月~9月の暑い季節は30℃や40℃以上に熱くなります。

・中央部・南部
高原地域は、平均気温が約17℃。最も温かい時期は30℃に達することもありますが、12月~2月の冷え込む時期の夜間は氷点下になることもあります。

・アンセバ地域・ガシュ・バルカ地域
高地平野部は、4月~6月は30℃以上と暑くなります。12月頃の寒い季節は、13~25℃くらいです。

エリトリアの治安・住みやすさ

エリトリアの治安はどうでしょうか?

首都アスマラの中心地  World66.com,  https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=462116より

治安は危険

外務省「海外安全ホームページ」によると、2022年2月17日時点でエリトリアの危険レベルは2~4。

レベル4の「退避勧告」が出されているのは、エリトリア南部(ガシュ・バルカ州、デブブ州、北紅海州及び南紅海州)のエチオピアとの国境付近。2020年11月に、エチオピアで政府とティグライ人民解放戦線(TPLF)との軍事衝突が発生しました。現在も両者が対立している可能性があり、エチオピア国境付近では衝突に巻き込まれる可能性があります。

また首都アスマラを含む国土全体でも、TPLFによるものとみられるロケット弾の着弾が起きたこともあり、危険です。

住みやすさは

エリトリアの国全体で治安が悪いことに加え、インフラが整備されていない地域も多く、計画停電や水道、ガソリンの供給停止が頻繁に行われるなど、エリトリアの生活は困難であると言われています。決して住みやすい国とは言えないでしょう。

エリトリアの見どころ・観光

エリトリアには、観光スポットや見どころはあるでしょうか?

カトリック大聖堂(アスマラ)

首都アスマラにあるカトリック大聖堂は、高くそびえる建物で、町のあちこちから見えるシンボル的存在。町の観光を行うときは、ここを中心にすれば、さまざまな場所を把握しやすくなります。建物の中に入れば、落ち着いていて荘厳な雰囲気に包まれます。

アスマラにあるカトリック大聖堂。1922年完成。高い鐘楼はアスマラ市内のランドマークとなっており、聖堂には男子・女子修道院のほか、小学校もある。
アスマラにあるカトリック大聖堂。1922年完成。高い鐘楼はアスマラ市内のランドマークとなっており、聖堂には男子・女子修道院のほか、小学校もある。

シネマ・インペロ(アスマラ)

アスマラにある映画館がシネマ・インペロです。日本にある映画館とはだいぶ異なり、レトロな雰囲気がいっぱい。歴史的建築物のひとつです。

メインマーケット(ケレン)

エリトリア第2の都市ケレンで行われているのが、メインマーケット。さまざまな食材が販売されている市場です。また食材のほかに、日用品なども販売されていて、地元の人々でにぎわっており、エリトリアでの人々の生活などが垣間見れます。

ケレンの街並み By Voice of Clam – Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5193490より

エリトリアの特徴・有名なもの

エリトリアの有名なものをご紹介しましょう。

エリトリア鉄道

エリトリアには「アフリカで最も美しい車窓のある鉄道」と言われるエリトリア鉄道があります。1930年代にできた蒸気機関車で、海抜0mの地点から海抜2350mの高地まで駆け上り、車窓からはすばらしい絶景を楽しめます。また1980年代から作られた鉄道は、エリトリアの発展のシンボルになっています。

エリトリア鉄道ネファジット駅周辺。山間部の景色が美しい。by Voice of Clam , https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5175905より(PD)

エリトリアの音楽

エリトリアの国民は、とても音楽好き。9つある民族のそれぞれに独自の音楽やダンスがあり、フェスティバルなどでは輪になってステップを踏んだり、肩をリズミカルに揺らしたりして披露されます。

クラールと呼ばれる弦楽器、アパンガラという楽器など、伝統的な独自の楽器も数多くあります。現在ではそれらの歌手の音楽がCDなどで発売されているものもあります。

エリトリアの国旗

エリトリアの国旗は、緑、青、赤、金でできています。緑は農業や豊穣を、青は海の資源を、赤は国を守るために倒れていった英雄的な国民を、金は鉱産資源を表しています。

エリトリアの国旗
エリトリアの国旗

人々の厳しい生活

エリトリアはイタリアの植民地となり、エチオピアに併合された歴史があります。その後、エチオピアからの独立を求め、1993年に国連監視下の住民投票が行われてエチオピアから独立しました。

しかし独立後は、内戦で破壊されたインフラの復旧などを進めていますが、慢性的な干ばつなどの気候変動による影響もあり、国民は依然として厳しい生活状況にあります。

日本であまり知られていないエリトリアという国

エリトリアは旅行許可証を受けないと観光などで訪れることはできません。そんなことからテレビ、雑誌などで取り上げられることがなく、日本ではあまり知られていない海外の国のひとつかもしれません。そんなエリトリアには、9つの民族がいて、さなざまな言語や文化があります。

旅行許可証を取得する必要があり、治安面でも危険なため、実際にエリトリアを訪れることは難しいですが、どんな国なのか調べて思いを馳せることで海外や国際社会への知見も深まるのではないでしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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