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台湾が初めて自主建造する新型ディーゼル潜水艦が28日、南部・高雄市の造船所で進水した。将来的に8隻を建造する計画の一環。海中を航行する潜水艦は捕捉が難しく、海上艦艇の大きな脅威となる。中国が台湾を取り囲むような海域で大規模な演習を行うなど中台統一に向けた圧力を強める中、台湾は潜水艦の持つ抑止効果に期待をかけている。
蔡英文総統は進水式の演説で、軍艦の自主建造は政権の最重要施策だと強調し「この船は深い海の中で、我々の故郷と自由、民主主義を守ってくれる」と述べた。新型艦は「海鯤(かいこん)」と命名され、来年4月ごろに始まる海上試験などを経て、2025年に就役する見通し。現役の2隻に改修を施した上で、将来的には計10隻態勢とする計画だ。
台湾メディアは建造する「台湾国際造船」や政府関係者の話として、新型艦は排水量3000トン、全長約70メートルで中国軍のディーゼル潜水艦を上回る潜水能力を持つと報じている。米国製の魚雷を装備し、27年に就役を見込む2番艦以降には対艦ミサイルも搭載される可能性がある。
台湾にとって潜水艦の近代化は悲願だ。現役のオランダ製潜水艦も1980年代に建造されたもので老朽化が進む。01年には米ブッシュ(子)政権から売却の約束を取り付けたが、米国が潜水艦の原子力化を進めたことや中国の反対にあって頓挫。16年に誕生した蔡政権で本格的に自主建造計画が動き始め、20年に1番艦を着工した。1番艦の予算は約493億台湾ドル(約2283億円)。
「潜水艦特有の隠密性と奇襲能力を生かして、中国海軍が第1列島線を越えて西太平洋に進出することを阻む」
制服組トップの参謀総長を経て、潜水艦建造計画の責任者を務める黄曙光氏は潜水艦の背負う役割をこう説明する。第1列島線は中国が主張する独自の防衛ラインで、日本の九州から沖縄、台湾東部海域を経て、南シナ海に至る。
中国軍は22年8月…
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