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「洋楽」という言葉に感じる壁と「J-Pop」の強さ

 みなさんこんにちは。日々未知なる音楽への探究をやめない大学生です。私は普段、おそらく大抵の人が聴かないような音楽ばかり聴いています。しかしながら、今回はメジャーなポピュラーミュージックの観点から少しお話ししたいと思います。私が最近面白いと感じていることでもあります。それは、日本人が発する「洋楽」という言葉に関してです。おそらく大多数の日本人が「洋楽」と自国の音楽である「邦楽」を区別して認識していると思います。そして、その「洋楽」という言葉の先に指しているものはおそらくアメリカのポピュラーな音楽であると思います。では、これは他の国でも果たしてそうなのでしょうか?これは私の海外渡航などから得た感覚的な体験では説明がつきそうにないので、Apple Musicのチャートを用いて見ていきたいと思います。

①アメリカのポピュラーミュージックに関して

まず、最初に大前提として世界一の音楽市場はアメリカにあります。これはみなさんもだいたい想像がつくかと思います。これは、Apple musicのグローバル(全世界のユーザーの聴いている音楽のランキング)チャートUSAのチャートを見比べてみればよくわかります。

↑2022年1月4日現在のApple Music グローバルチャート


↑2022年1月4日現在のApple MusicにおけるUSAチャート

このように順位は前後しているものの大差ないと思います。実際にグローバルチャートのだいたい3/4ほどがアメリカのアーティストの曲(アメリカのアーティストと言っても元の出身は違う場合があるので線引きは若干曖昧だが)で占められています。気になるところは他の国がどれほどアメリカの曲(日本人が言うところの洋楽)やその他の国外の曲を聴いているかです。次にそれを見ていきましょう。

②先進国(Apple Musicがよく使われてそうな国)のチャート事情

 先進国各国でどれほどアメリカの音楽が浸透、いわゆる海外の音楽を聴いているのか検証していきます。今から載せる曲数はその国においてその国以外のアーティストがチャートインしている曲数です。先に結果から載せていきます。チャートの全曲数は100曲です。

イギリス・・・67曲
オーストラリア・・・88曲
カナダ・・・98曲


初っ端から驚異的な数字に見えるかもしれません。この3カ国はチャートの半分以上が海外、特にアメリカの曲で占められています。カナダに至っては2曲しかカナダ人のアーティストの曲がランクインしていません。しかし、この3カ国には共通点があります。それは、英語が公用語だということです。もしかしたら、言語が一緒なため、アメリカの曲がすんなり耳に入ってきて親しまれているのではないかという可能性があります。では、次に英語が公用語ではない先進国の、その国以外のアーティストの曲のランクイン曲数を見ていきましょう。

フランス・・・30曲
イタリア・・・26曲
ドイツ・・・65曲
スペイン・・・81曲
ブラジル・・・34曲

先ほどの英語圏の国に比べてやや自国のアーティストのランクインが多くなった印象です。しかしながら、スペインなどは他国のアーティストが多くランクインしていました。これは、アメリカのアーティストが多く入っていたというよりは、スペイン語圏のアルゼンチンやプエルトリコなどのアーティストが多くランクインしている印象でした。このようにこれらの国々は自国の公用語が他国でも公用語になっているというケースを持った国々です。このケースはもちろん日本にはないことなので少し日本と音楽を聞く条件が違っているかもしれないです。(音楽を聴く上で言語を全く気にしない私からしてみたらあまり条件は変わりませんが)
 では、次に、条件を最大限に合わせる、ではないですけど、日本のように公用語が他国では一切公用語にはなっていない、という国のチャートを見ていきたいと思います。代表的な国としては韓国と中国(台湾があるけど)が挙げられるかと思います。一体何曲くらいその国以外の曲がランクインしているのでしょう。結果はこのようになりました。

韓国・・・28曲
中国・・・18曲

なるほど、やはり言語の違いって結構大きいんですね。それでも僕の予想より多くの他国の曲が韓国や中国で聴かれていました。ちなみに、韓国や中国での他国の曲はほとんどがアメリカの曲でした。

 さてさて、最後に日本のチャートを細かく分析していきましょう。みなさん、ここに載せた各国のランクイン曲数を覚えておいてください。



③日本のチャート事情、J-POPの強さ


 最後に日本のApple Musicのチャートを詳しく分析していきたいと思います。まずは、同じように日本のTop100チャートに何曲海外の曲(いわゆる洋楽)がランクインしているのかをみていきたいと思います。結果はこちらです。

11曲(2022年1月12日現在のチャート)

やっぱり少ないっすね。ちなみに内訳を見てみると11曲のうち、10曲がK-POPで1曲がアメリカの曲でした。つまり、K-POPを除くと海外の曲はなんと1曲しか入っていないことになります。これを逆に考えるとJ-POPが89曲もランクインしている→日本人はJ-POPが大好き。→日本国民は1億3000万人もいるのでかなり聞いてる人が多い→J-POPというジャンルは世界基準で見ても強いジャンルなのではないか、という考えが浮かんできます。僕も日本生まれ日本育ち、コテコテの日本人なのでこういうことはもしこれが本当なら少しワクワクして誇らしくなります。


 では、実際にJ-POPが海外でたくさん聞かれているのか?それを検証してみました。相も変わらずApple Music Top100チャートを使っていきたいと思います。
J-POPがチャートインしてた国はご覧の通りでした。

台湾・・・ 5曲

こんな感じでした。
ええっこれだけ?!?!?!?!
残念ながらこれが現実でした。
お隣の韓国ですら一曲もチャートインすらしていない非常な現実。なぜだ。日本ではこんなに強力なJ-POPが。
ちなみに台湾でランクインしていたJ-POPの曲はこんな感じでした。
・残響散歌-Aimer
・群青-YOASOBI
・夜に駆ける-YOASOBI
・Lemon-米津玄師
・怪物-YOASOBI



こうなってくると日本以外の国でJ-POPはほとんど聴かれていないことになります。(チャートだけで判断するのもと思うかもしれませんがおそらく本当に聞かれていません。)真のJ-POPらしい日本語で歌われた曲がいつかはアメリカや世界中でヒットしてほしいものです。

 ちなみに、唯一海外で日本の曲がランクインしていた台湾ですが、おそらく日本人からみたK-POP的な感覚でJ-POPが聴かれているのだと思います。好きな人は一定数いるけど、聞かない人も多い、みたいなそんな感じだと思います。ちなみに、台湾は私は2回ほど行ったことがありますが街を見渡すと日本の企業が大量に台湾に流入しており人々も比較的親日でした。そのようなところから台湾の人たちが日本の文化に親近感を抱きやすいのかも知れません。

④終わりに
"海外の音楽を聴かない、聴かなくていいということは逆に恵まれている"

 最後に日本人の「洋楽、邦楽の壁問題」について触れていきたいと思います。チャートを見ていても日本人は特に自国の音楽が大好きだということが各国と比較してもわかるかと思います。一見、音楽の世界が狭いなどという意見も見受けられますがよくよく考えてみればこれはとても恵まれている環境なのではないか?と思います。なぜなら、先進国の中においても、自国の曲とアメリカの曲がごちゃ混ぜになっている国が多くなんなら自国の曲はほぼなくアメリカの曲ばかりという国がありました。その中で日本では、9割近く日本の曲が聴かれています。つまり何が言いたいかというと自国の曲が大量にその辺に溢れていてそれを好きなように聞けるという環境がとても恵まれているということです。音楽の聞き手にとってバックグラウンドや育ちが同じアーティストが歌っている曲の方が親近感が溢れて聴きやすいのは当たり前の話です。特に新興国なんかではほとんどアメリカと縁のなさそうな国なのにアメリカの曲ばかりチャートインしているという国もあります。もちろん、「洋楽は無理」などと壁を自分から作ってしまうのも勿体無いと感じますが、そのように壁を作っても自国にたくさん楽しい音楽が溢れているというその環境は世界的に見てとても恵まれています

 こういう言い方は変ですが、日本国内においてJ-POPはある種最強のジャンルです。それを、今度は世界に発信していく、そういうフェーズに入っているのではないでしょうか。いつか、日本の音楽が世界的に人気の出るそういう時代が来ることを私は願っています。




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