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『ムツゴロウ』畑正憲さん死去、「ムツゴロウ動物王国」を開園し動物と大胆にふれあう姿で人気

2023年4月6日 20時21分

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畑正憲さん

畑正憲さん

 「ムツゴロウ」の愛称で親しまれた作家で動物研究家の畑正憲(はた・まさのり)さんが5日、心筋梗塞のため死去した。87歳。福岡県出身。2017年にも心筋梗塞を発症し、北海道中標津町の自宅で療養していたが、関係者によると、5日夕方に体調不良を訴えて倒れ、搬送先の病院で亡くなった。葬儀は近親者で行う。
   ◇   ◇
 医師だった父の満州国赴任に伴い、幼年時代を満蒙(まんもう)開拓団の村で過ごした畑さんは、帰国後に東京大学理科Ⅱ類に現役合格。1960年に学習研究社(現・学研ホールディングス)に入社し、動物記録映画の製作に携わった。68年に同社を退社して執筆活動を開始。同年、「われら動物みな兄弟」で作家デビューし、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。
 71年に北海道浜中町の無人島に移住し、翌年に「ムツゴロウ動物王国」を開園。79年には中標津町にも広大な牧場やログハウスの自宅を有した「ムツ牧場」を設立し、犬や馬、クマなどさまざまな動物と一緒に暮らしながら執筆活動を行った。80年からフジテレビ系で動物バラエティーの先駆けともいえる人気番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」がスタート。86年には映画「子猫物語」の監督も務め、興収54億円の大ヒットに導いた。
 番組で世界中の動物と触れ合う中、2000年にはブラジルでライオンに右手中指を食いちぎられるアクシデントも発生。それでも決して動物側を責めず、心を通わせるためにワニの口に顔を入れたり、アナコンダを体に巻き付けたりするなど、大胆すぎる行動でも注目を集め、20年以上続く長寿番組となった。
 06年に東京都内でDVD「ワールド・アニマル・カップ」のアフレコに参加した際にも「オオカミに求愛され、3日3晩ふたりで楽しんだ」と仰天エピソードを披露していた。
 北海道で培ったノウハウを生かし、04年に東京都あきる野市に「東京ムツゴロウ王国」を観光施設として開園した。しかし、客足はあまり伸びず、07年で閉園。畑さんは個人で約3億円の借金を抱えたものの、執筆や講演活動を通じて8年で完済したという。
 17年10月に心筋梗塞を患って、ドクターヘリで搬送されたことも。晩年は中標津町のログハウスで妻の純子さんと仲むつまじく暮らしながらYouTubeチャンネル「ムツゴロウの656」で秘話などを公開。亡くなる前の3月26日にも女性マッシャー(犬ぞりの操縦者)のスーザン・ブッチャーさんのもとを畑さんが訪れた際の話を公開し、元気な姿を見せていた。語呂合わせで656回を目指したが、同日の104回が生前最後となった。
 主な著書に「畑正憲作品集」「ムツゴロウの青春記」「ムツゴロウの動物交際術」など。

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