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私たちの美術作品が返礼品 金沢美大 コロナ困窮学生支援へ寄付を

2020年6月12日 05時00分 (6月12日 13時00分更新)
クラウドファンディングを立ち上げた秋山雅貴さん。自らも作品を出品する=金沢市宝町で

クラウドファンディングを立ち上げた秋山雅貴さん。自らも作品を出品する=金沢市宝町で

  • クラウドファンディングを立ち上げた秋山雅貴さん。自らも作品を出品する=金沢市宝町で

有志らネットで募る


 新型コロナウイルスの影響でアルバイトが減り、生活が苦しくなった学生を支援しようと、金沢美術工芸大の学生有志五人が、インターネット上で寄付を募る「クラウドファンディング(CF)」を活用した試みを始めた。CFのページに学生が制作した作品と金額を掲載し、その金額を上回る寄付をしてくれた人に作品を贈る仕組みで、美大生ならではのプロジェクトになっている。(高橋雪花)
 赤や青、黄色の油絵の具で描かれた福沢諭吉の肖像画に、セメント製の手形オブジェ、漆塗りのみやびな器−。CFのページには、学生が制作した数々の作品が掲載されている。「オンラインの美術館みたいで、見るだけでもおもろいと思います」。企画した「金沢美術工芸大学学生応援プロジェクト」のリーダーで、同大修士一年の秋山雅貴さん(24)=奈良県出身=は語る。
 福沢諭吉の肖像画の上には八万五千円と記載され、この金額を上回る寄付をした人が先着順で作品を手にできる。集まった寄付金のうち、30%を同窓会を介すなどして、約七百人いる学生に手渡す予定。残りは出品者に還元したり、プロジェクトの運営費などに充てたりする。現在、作品を掲載しているのは学生九人のみだが、趣旨に賛同してくれる全国の作家にもプロジェクトへの参加を呼びかけ、出品を依頼する。
 学生たちは、アルバイト収入が減っただけでなく、美術館やギャラリーが閉館になり作品発表の場も奪われた。「この状況をなんとかしたい」という思いも、有志五人の背中を押した。
 学費や生活費を自分で稼ぐ秋山さんにも、バイト先の休業が重くのしかかった。食費を浮かすため、食事をしない日もあり「追い詰められました」。五月に出品するはずだった東京都での美術展も中止になった。
 秋山さんは「新型コロナで家から出る機会が少なくなる中、殺風景な家の中に一つでも作品があれば心を豊かにしてくれる。今回、作品という『武器』を見せる場所をつくった。出品者はその場を生かして、人や自分の生活を豊かにしてほしい」と語る。=CFのサイトに続くホームページ=

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