シドニー五輪第2日は16日、17競技が行われ、競泳女子400メートル個人メドレーで日体大1年生の田島寧子が4分35秒96の日本新で銀メダルを獲得、今大会の日本人メダリスト第1号になるとともに、競泳陣に2大会ぶりのメダルをもたらした。
めっちゃ悔しい
めっちゃ悔しいです。やっぱり金色が欲しかった。背泳ぎまでに先行できなかったのが痛かった。平泳ぎから(最後の自由形へ)ターンしたときは、このままでは帰れないと思った。当分破られない日本記録は作ったと思う。(田島寧子談)
五輪の舞台にふさわしい田島の気迫のこもったレースだった。「世界新記録で金メダルを取りたい」という願いは惜しくもかなわなかったが、堂々と銀メダルを獲得。自らが4月にマークした日本記録を一気に3秒17も短縮する快泳だった。
「ちょっと悔しい。やっぱり『金』が欲しかった」。プールサイドでさわやかに、そう振り返った。
田島らしい、粘りのレースだった。平泳ぎが苦手な田島にとって、最初のバタフライ、背泳ぎでいかにリードするかがポイント。ところが、スタートで遅れ、1998年世界選手権銀メダルのクロチコワ、さらに米国のサンデノにリードを許す思わぬ展開となった。
4位から2位に上がり、平泳ぎでまた3位。「あそこでターンした時、このままでは(日本に)帰れないと思った」。最後のクロールで全身の力を振り絞って2位に上がり、トップのクロチコワを追った。タイムは4分35秒96。自らが、この大会で優勝するために照準に据えた目標の35秒台に到達した。
「球技なんかは全然駄目。運動音痴なんです」と本人が言うように、運動神経が特に優れているわけでもない。平泳ぎという弱点もある。だが、いつも前向きに、目標を見失わずに進んできた。それこそが田島の強さ。田島を指導して12年になる藤森善弘コーチは言う。「言い訳せず、目標を達成する意欲がすごく強い」。
日本競泳陣のムードメーカーとしての期待に十分こたえた。それでも、「100パーセントの力を出せたか」の問いに、「出せていません」。19歳はこの銀メダルをまた、将来への肥やしにしようとしている。
「めっちゃ悔しいです。金色欲しかったです」―。シドニー国際水泳センターで16日行われた競泳女子400メートル個人メドレーの決勝戦。19歳の田島寧子選手は念願の金メダルこそ逃したものの、堂々の銀。今大会、日本に初のメダルをもたらした。
「オリンピックは雰囲気が違うと言われていたが、全然そんなことなかった」。予選を好タイムで突破した後、田島は余裕の表情さえ浮かべてこう語った。そこには五輪初出場、しかも日本競泳陣のトップバッターとしてのプレッシャーなどみじんもない。「金を取って帰りたい」と、逆にメダルへの執着をはっきり口にするほどだった。
決勝は、予想通りウクライナのクロチコワ選手らとの争いに。田島はスタートでやや出遅れ、最初のバタフライを4位で通過。観客席の大声援と日の丸の旗に押されて次の背泳ぎで2位に付けたが、後半の平泳ぎで3位と順位を落とし、最後に追い上げて2位でゴールした。
「残り50メートルは、『追い付け』と思って泳いでいた。絶対3番じゃいや、このままでは(日本に)帰れないと」。プールから上がった田島は、さばさばした口調でそう語った。田島にとって金メダルは「小さいころからの夢」。メダルの色こそ違ったが、自己ベストを更新しての日本新記録をマークする健闘ぶり。表情は底抜けに明るかった。
このページは、時事通信社が配信したニュースをまとめたものです。
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