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「々」は、漢字なのでしょうか。

子どもと大人の「ことばQ&A」

2023年5月12日 更新

光村図書 校閲課

ふだん何気なく使っている言葉も、ちょっと立ち止まって考えてみたら、いろいろおもしろいところが見えてきます。
このコーナーでは、教科書の校閲を担当しているメンバーが、言葉をめぐるさまざまな疑問を取り上げて解説していきます。

「代々木」や「人々」で使われる「々」は、漢字なのでしょうか。また、何と読むのでしょうか。

 

代々木公園を散歩していると、木々の間から差す光がまぶしく感じる季節になってきました。

さて、この「代々木」や「木々」という言葉に使われている「々」は、ふだん何気なく目にしていますが、これは漢字なのでしょうか。

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「々」は、通常「踊り字」といわれる記号・符号の一つで、漢字ではありません。
「々」は、同じ漢字を重ねて使う場合に、その漢字一字の代わりとして用いられます。
光村図書の小学校『国語』の教科書では、3年生で初めて登場します。「同じ字をかさねるときにつかうしるし。『おどり字』などという。」と説明されてます。
このように、「々」は単独では使われず、常に前接する漢字の読み方に従って読まれるため、基本的には「々」に決まった読み方(音読み・訓読み)はありません。

なお、昭和21年に文部省教科書局調査課国語調査室が作成した「くりかへし符号の使ひ方〔をどり字法〕(案)」では、「々」を「同(どう)の字点」と記しています。加えて、印刷・出版業界ではカタカナの「ノ」+「マ」に見えることから、「ノマ」「ノマ点」という名称が使われることもあります。
また、「々」は、人名用記号として名前に使うことが認められていますが、「々子」のように名前の最初に使うことはできません。

他にも「学問のすゝめ」「金子みすゞ」のように、仮名を重ねて書くときに使う符号もあります。しかし現在の教科書では、人名など特別な場合を除いて使っていません。

パソコンやスマートフォンで「々」を単体で表記したい場合は、「おなじ」「どう」「くりかえし」で変換できます。必要の際にはお試しください。

Illustration:  Mimei Umimachi

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