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石川昂弥 中日ドラゴンズ 真の4番打者へ 勝負弱さ克服目指す

  • 2024年02月01日

 

中日ドラゴンズの若き主軸、石川昂弥選手は昨シーズン、若手を試合で育てる立浪和義監督の方針の下、チーム最多の85試合で4番に起用された。その結果、121試合に出場して初の規定打席に達し、ホームラン13本打点45をマークした。愛知県半田市出身で東邦高校時代には投打の中心としてセンバツ優勝に導いた生え抜きのスター候補生は5年目を勝負の1年と位置づけ、キャンプ、オープン戦を通して首脳陣の信頼をつかみ、開幕戦の先発4番に名前を連ねる決意を示している。
(NHK名古屋放送局 ドラゴンズ担当記者 猪飼蒼梧)

キャンプイン前日はゴミ拾いで心をきれいに

ことし春のキャンプは去年秋に左ひざを痛めたこともあり2軍スタートに。キャンプイン前日の1月31日、石川選手は沖縄県読谷村の球場にいた。井上一樹2軍監督の発案で行われた2軍キャンプで使う施設の清掃活動に参加するためだ。自分が約1か月間使う施設をきれいにすることで気持ちを新たにした。

清掃活動後、井上2軍監督と取材に応じる石川選手

石川選手
あすから「よろしくお願いします」ということで掃除をしました。去年秋のキャンプは最終クールしか入っていないのでたくさんノック受けて、たくさん打って、しっかり数こなして万全な状態というのをしっかりアピールしていきたいと思います。

大きな期待”生え抜きの4番候補”

石川選手は愛知県半田市の出身。愛知の私学4強の1つ、東邦高校時代の2019年のセンバツ高校野球では『キャプテン、エース、3番バッター』を担うチームの大黒柱として大活躍。習志野高校との決勝では2本のホームランを打ち、投げては完封勝利で優勝に導いた。そして秋のドラフト会議では3球団競合の末、ドラゴンズの与田剛監督(当時)が見事に地元出身のスター候補生の交渉権を引き当てた。そしてプロ1年目の初打席でいきなりツーベースヒットを打ったが、けがもあり14試合の出場に終わった。その後も左ひざのじん帯損傷などたび重なるけがに苦しみ、3年間で打ったホームランはわずか5本にとどまった。

2019年センバツ決勝 石川選手は2本目のホームランを打ち優勝に導いた

チーム方針で4番起用が85試合 ふた桁ホームランも 

石川選手は4年目となった昨シーズンもけがで出遅れたが、2軍で5割を超える打率をマークし4月中旬に1軍合流。昇格後最初の試合にいきなり4番で先発した。立浪和義監督が将来のチームを背負う存在になってもらうため、試合で積極的に起用し成長を促したのだ。開幕直後から打線が低迷し、チームが最下位から抜け出せない中、石川選手は7月の1か月間に5本のホームランを打つなど、一定の存在感を見せた。

7月22日の広島戦 10号先制ソロホームランを打つ

8月以降は息切れした感があったが、何とかシーズンを完走。4番での起用はチームトップの85試合に上った。また2023年シーズン全体では121試合の出場で打率2割4分2厘、ホームラン13本、打点42。4年目で初めて規定打席にも到達した。

石川選手
体力的にも精神的にも非常にきつかったですが、首脳陣の方々に使って頂いて規定打席に到達することはできました。これだけ試合に出て打席に立てたのはよかったんですけど、あまり納得のいく数字は出ませんでした。そこは悔しいというかもっとできたんじゃないかと思います。

収穫の一方で際立った勝負弱さ

規定打席に到達して一定の戦力になったが、4番を任される中で1つの記録が課題として浮かび上がった。チャンスでどれだけ打つことができたかを示す得点圏打率が極めて低かったのだ。石川選手の得点圏打率は1割8分4厘。規定打席に到達した12球団のバッターの中でワーストだった。

なぜチャンスでこれだけ打てなかったのか。石川選手は打席で気持ちが空回りしていたと振り返った。ヒットを打って「ランナーを返したい」という意識が強くなるあまり、思い切ったスイングができなくなり、ストレートに差し込まれる場面が多かったというのだ。

石川選手
打ちにいっちゃうというか得点圏だから何とかしようという気持ちが強すぎて全部合わせるような形になってしまっていました。まっすぐをファウルにしてしまうことが多かったので、そこを思い切って三振を怖がらずにストレートを仕留められるようになれば、もっと得点圏打率は上がってくると思います。

ファンにとって印象深い試合で手ごたえ

ストレートへの対応に課題が残った石川選手。その中でバッティングに手応えを感じたのが8月13日に行われた本拠地での広島戦だ。この試合が印象に残っているファンも多いはずだ。まず岡林勇希選手が1回の第1打席で26試合連続となるヒットを打ち、初代ミスタードラゴンズの西沢道夫さんが持っていた球団記録を塗り替えた。そしてマウンドでは選手会長の柳裕也投手が9回までノーヒットノーランの快投を見せたが、打線が柳投手を援護できず延長戦に突入したのだ。さらに10回に防御率0点00のライデル・マルティネス投手がホームランを打たれて初めて自責点がつき、リードされるまさかの展開に。10回ウラの先頭バッターが石川選手だったのだ。広島の速球派・矢崎拓也投手が投じた4球目の147キロのストレートに対して合わせることなくフルスイング。左中間スタンドに放り込んだのだ。

8月13日の広島戦 10回ウラに11号同点ホームランを打つ

石川選手
あの高めのストレートを打つことができたのはよかったです。自分でもあんなバッティングができるのかと印象に残っていて、手応えを感じた場面でした。

ストレートに差し込まれない!真の4番を目指して

どんな場面でもしっかりとストレートに差し込まれずに捉えるためにはどうすればいいのか。シーズン終了後に石川選手が掲げた課題はスイングスピードの向上だった。

石川選手はシーズン終盤、疲労がたまる中でスイングスピードが落ちたのを痛感していた。どんな状態でも自分が考えるスイングスピードを保つことができれば、速いストレートを仕留められる確率を上げられると考えたのだ。去年秋のキャンプは左ひざが再び痛んだ影響で練習量は決して多くなかったが、スイングスピードの向上につながる「体のキレ」を追い求めていた。

 

昨シーズンは期待から「使ってもらった」4番だった。中田翔選手など新戦力が加わり競争が激しいが、来シーズンは打線は引っ張る真の4番になる決意を示した。

石川選手
目標はホームラン20本 打点80。監督には4番に多く立たせてもらい期待はすごく感じていました。何とかしたかったのですが、去年はなかなか4番らしい成績を残すことができず悔しかったです。自分が打線を引っ張っていかないといけないと思っています。打線の中心でありたいので、その期待に応えられるようにことしは頑張りたいです。

記者:石川選手にとって4番とは?
石川選手
勝敗を左右する打順です。得点圏で打てるような勝負強さや思い切ったスイングができるバッターだと思います。そんなバッターに自分はなりたいです。

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  • 猪飼蒼梧

    名古屋局 記者

    猪飼蒼梧

    入局5年目。去年8月からドラゴンズ担当。小学生のころはテレビで年間100試合以上プロ野球観戦していました。

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