競輪、楽しんでいますか?

 日本選手権競輪は三谷竜生選手の連覇で幕を閉じた。近畿の層の厚さを感じる一戦で、特に先頭を走った脇本雄太選手の強さには脱帽。さすが東京五輪メダルを目指すW杯ケイリン・ウイナーはものが違う。

 その一方で、千葉勢の頑張りも目を引いた。和田健太郎、山中秀将の両選手が決勝に進出。ガールズコレクションでは石井貴子選手がコレクション3度目のVを飾った。

 そのパワーの源の1つが、千葉の選手を応援するファンの一団。連日、スタンドからの熱い声援が選手の士気を高め、千葉支部長の中村浩士選手も「あの応援が力になったことは間違いない。日ごろ、イベントなどを通じて選手とファンの交流を深めてきたことが大きい」と感慨深げだった。その中村自身も5日目に最終バック9番手から強烈な直線中割りで快勝。3連単12万超の穴をたたき出し「声援を聞いて、絶対に諦めないぞと思って踏んだ」と振り返った。

レース後、クーリングダウンする中村浩士・選手会千葉支部長
レース後、クーリングダウンする中村浩士・選手会千葉支部長

 かつて、車券の対象である選手と、ファンの間には大きく高い壁があり、両者が触れ合うなどご法度の時代もあった。だが近年、同支部では地道に交流の場を作り、着実に相互理解を深めてきた。同支部長は「もちろん最低限の線引きは必要だけど、支部長としても公的な場での交流は今まで以上にやっていきたい。もっと我々選手のことを知ってもらいたいですからね。(いつも柔和な)僕だって初めて会ったファンに“もっと怖い人かと思っていた”と言われたこともあったぐらいだから」と笑う。

 中村も言うようにモラルさえ守れば、競輪選手を1人の人間としてファンに身近に感じてもらうことは、競輪再生の小さな1歩になると思う。もちろん、こういった努力は千葉支部に限ったことではなく、他の支部でもさまざまなアイデアを出し、実践している。それをどう発信していくか。我々マスコミにも、できることはたくさんある。【栗田文人】

念願の競輪班キャップに就任し、張り切る「おヤマの大将」こと山本幸史記者
念願の競輪班キャップに就任し、張り切る「おヤマの大将」こと山本幸史記者