単刀直言

仙谷由人元官房長官 今の蓮舫体制は「近視眼的だな」 自衛隊を憲法上位置付けよ

インタビューに答える仙谷由人元官房長官=11月29日、東京・新橋の事務所(酒巻俊介撮影)
インタビューに答える仙谷由人元官房長官=11月29日、東京・新橋の事務所(酒巻俊介撮影)

 憲法改正議論をめぐる環境は、トランプ次期米大統領の出現によって大いに様相が変わりました。あるいは、中国や韓国、北朝鮮の大変貌によって。

 憲法9条をめぐる従来ののんきな「神学論争」は、冷戦構造下の安心した国民の論争だったんじゃないか。自主憲法制定論者にしても、再軍備論者にしてもね、戦後の中曽根康弘元首相らが(憲法改正を)言い出したときほど、もう軽くそんなことを言えるような時代ではない。日本の右翼と左翼は、「核の傘」など日米同盟の防衛が確保されているという安心感のもと、わりと「温室」で論争をやっていたんじゃないかと思うんですよね。

 私は「護憲的な改憲論」を唱えてきました。かつて「自衛隊は暴力装置」と話して産経新聞にもボロンチョにたたかれたけど、自衛隊をきちんと憲法上に位置付けて、憲法がコントロールする規定を設けるべきだというのが私の論理ですよ。

 憲法には防衛に関する諸原則を書き込んでもいいし、そうでなければ「防衛費は国内総生産(GDP)の1%以内」「非核三原則」などを安全保障基本法などに書いてもいい。これは中国や韓国、北朝鮮とケンカするための話ではない。憲法改正をめぐり、自民党総裁選や国政選挙で「どちらが弱腰か強腰か」みたいなナショナリズムを沸騰させるような発想で、9条論争をしてはならないと。

 今の国際的な戦後体制は、2度の世界大戦という大虐殺戦争を経てたどりついた、人間の理性と知恵の成果だと思っています。だから、安全保障も国際協調主義でやっていかなければならない。そう考えて旧民主党が平成17年に出した「憲法提言」でも、「集団安全保障体制」を目指す方向性をはっきり書きました。

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