平成の証言

「あなたと違うんです」(20年8月~21年2月)

会見で辞任を表明する福田康夫首相=平成20年9月1日、首相官邸(小野淳一撮影)
会見で辞任を表明する福田康夫首相=平成20年9月1日、首相官邸(小野淳一撮影)

 31年4月30日の終わりに向けてカウントダウンが始まった平成時代。私たちが受け止め、発した言葉は時代の証言となって「あのとき」をよみがえらせます。「平成の証言」を、元年からひと月刻みで振り返ります。

平成20年8月

 「マウンドで鳥肌が立ちました」(ソフトボール日本代表の上野由岐子投手)

 21日、北京五輪のソフトボール決勝が行われ、日本は大会4連覇を狙う米国を3-1で破って初優勝を果たした。上野は前日の2試合と決勝の計3試合、413球を1人で投げ抜いた。ソフトボールは次回大会から五輪競技からの除外が決まっており、最後の大会で選手らは悲願の金メダルを手にした。

 北京大会ではほかに、北島康介が競泳男子100メートル平泳ぎで初めて59秒を切る世界新記録で2連覇。「何も言えねぇ」という名言を残している。

20年9月

 「私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたと違うんです」(福田康夫首相)

 1日夜、福田首相は首相官邸で緊急会見を行い、辞任を表明した。会見の最後に記者から「退陣会見がひとごとのように聞こえる」と指摘され、怒気を込めてこう返した。衆参「ねじれ国会」で法案成立が難航し、この年4月の後期高齢者医療制度でも世論の強い反発を受け、支持率は低迷を続けていた。

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