22年度の神奈川県予算 一般会計2年連続2兆円超 財政健全化 見えにくく

2022年2月9日 07時26分
 神奈川県の当初予算案は、一般会計が二兆三千四百四十八億円(前年度比14・5%増)と二年連続で二兆円を超えた。特別会計なども合わせた総額は四兆六千百八十五億円(同8・8%増)と四年連続の四兆円超。新型コロナウイルス対策で規模が膨らむ一方、新型コロナ関係費用の特性により、見た目の指標では財政の健全度が見えづらくなっている。
 県税収入は前年度比9・4%増の一兆二千四百九十六億円。活発な株式取引を背景に個人県民税が増えるほか、新型コロナによる「巣ごもり需要」を取り込んだ企業の業績回復で法人事業税も増えると見込む。代わりに県債発行が同41・1%減り、発行残高は三兆二千二百四億円と二年ぶりに減少するとみる。
 予算編成時の昨年九月時点では八百五十億円の財源不足を見込んでいたが、想定を上回る税収などにより解消。新型コロナ対策のために取り崩していた財政調整基金も積み直すことができ、二〇二二年度末に六百二十億円と、県が目安とする六百六十億円に近づく。
 県財政は好転しているように見えるが、内情は厳しい。財政の硬直性を示す「義務的経費」の割合は71・8%と二年連続で八割を下回るが、新型コロナ対策費のほとんどが「政策的経費」に分類されることが原因で、県が自由に使える予算が増えたわけではない。
 歳入は、県税の占める割合が53・3%(同2・5ポイント減)と二年連続で六割を下回り、自主財源が減っていることが分かる。新型コロナ対策費の大半が国庫支出金のため。県債発行残高は、二三年度末に二兆円台まで減らすという一六年度に定めた目標は堅持するが、黒岩祐治知事は「現状では(達成は)難しい」と述べた。

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