ヤマハサウンドシステム株式会社

ホールの響き

ホールの響きってなに?

話すときや音楽を聴くときなど、日常生活の中で人は無意識に “響き”を聴いています。響きはとても身近な存在で、例えば、お風呂場で歌を歌ったり、トンネルに入って声を出したりすると、なんだか心地よく、ワクワクした気持ちになることがあります。響きは、私たちに安心感や高揚感を与えてくれます。この響きが、ホールなどの広い空間では、3次元的に広がり自然で美しいものとなります。

演奏の音は観客にどのように届く?

ホールで行われる演奏会の音は、観客席にどのように届いているのでしょうか。ステージで演奏している音は、ホールの空間に広がり観客に届きます。このとき、音は「直接音」「初期反射」「後部残響音」の順に届きます。「直接音」はステージ上から観客の耳にまっすぐ届く音、次の「初期反射音」は天井や壁に反射した音、最後の「後部残響音」は天井や壁に何度も複雑に反射した音です。このように音は、段階を分けて観客に届き、ホールの響きとして空間の広さや、音に包まれる感覚を与えてくれます。

図1 音の伝わり方

図1 音の伝わり方

図2 音の減衰

図2 音の減衰

演目で求められる響き

最適な響きは、用途により異なります。図は、部屋の大きさと用途に合った響きの量の関係を示したものです。講演やスピーチは、言葉がはっきり聴こえる響きの少ない環境が望まれます。クラッシック音楽では響きが多いほうが音は豊かに聴こえ、歌やオルガンの演奏ではさらに響きの多い環境が望まれます。

図3 音の伝わり方

図3 音の伝わり方

演目に適した響きをひとつのホールで作る方法

用途に対して最適な響きが異なるため、ひとつのホールでいろいろな用途に対応させるには、どのようにするとよいでしょうか。2つのアプローチを紹介します。

1つ目は、建築的な形状の拡大や物理的な変化により響きを変える方法です。例えば以下のものがあります。
・舞台上に反射板を設置する
・収音カーテンを設置する
・天井の高さを変える(容積を変える)
・周囲に残響室を設ける(容積を変える)

これらの方法は、形状が大きくなるほど効果があり、視覚的にも変化を与えます。しかし、建築や物理的に変更する仕組みは、大掛かりな装置が必要で、どれも多くの時間や人による操作、そしてコストがかかります。

図4 舞台上に反射板を設置

図4 舞台上に反射板を設置

図5 吸音カーテンを設置

図5 吸音カーテンを設置

図6 客席の天井の高さを変更
図6 客席の天井の高さを変更
図6 客席の天井の高さを変更
図6 客席の天井の高さを変更

図6 客席の天井の高さを変更

図7 周囲に残響室を設ける

図7 周囲に残響室を設ける

2つ目は、電気的に響きを補う方法です。マイク、スピーカー、プロセッサー、パワーアンプといった音響機器を使用し、その空間に広がる音の響きや音量間を助長し、用途に合った音響条件を作り出します。このような方法で国内外を問わず導入実績が多いのは、ヤマハの音場支援システム「AFC(Active Field Control)」です。「AFC」は、建築物がもともと持っている音響特性を活かしながら、響きや音量感をコントロールできます。天井高など建築構造を変える大掛かりな装置も不要で用途に適した響きをつくることができます。

図8 AFCのしくみ

図8 AFCのしくみ

まとめ

普段、私たちが何気なく聞いている響き。ホールでの響きの伝わり方や演目の用途と響きの関係を紹介しました。演目の用途に対して適した響きの環境が望まれます。ひとつの空間で用途ごとに適した響きを得るには、建築的な方法と電気的な方法があります。天井高を構造的に変えるなどの建築的な方法は、時間やコストがかかりますが、電気的な方法は、音響機器を用いることで大掛かりな工事は必要とせず、用途に合わせた響きをつくり、複数の響きをパターンとして登録できるなど多くの利点があります。

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