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パーティー券購入「寄付のつもり」
「政治資金の透明化」という理念のもと、1948年に議員立法で成立した同法は、政治とカネを巡る不祥事で国民の批判を浴びるたび、議員の手で改正されてきた。企業・団体献金は規制が進み、寄付を受け取れるのは政党や政党支部などに限られ、年間5万円超の場合は名称などが公開される。
一方、政治資金パーティーは、派閥や、政治家個人の政治団体でも開催可能で、パーティー券購入者の公開対象は1回あたり20万円超。こうした法規制の差は政治家側だけでなく、企業側の思惑にも利用されてきた。
東京都内にあるコンサルタント会社の会長は、付き合いのある安倍派や議員側への寄付は断り、その代わりに、会社として安倍派のパーティー券を毎年購入している。同社の男性幹部は「会長は政治家との癒着を批判されるのを嫌う。社名が表に出ないように必ず20万円以下に抑えている」と明かす。
岐阜市の男性社長は2017年以降、安倍派のパーティー券を、経営する会社の名義で毎年150万円分購入している。1枚2万円で75枚あるが、自身や社員らが出席することはほとんどない。社長は「あくまで寄付のつもりで買っている」と話す。
同法は、派閥への企業・団体献金を禁止しているが、社長は「頼まれたので買っているだけだ」と淡々と話す。
「抜本的な制度改善を」
パーティー収入を裏金化する還流システムが白日の下にさらされた今回の事件。派閥が監査の対象となっていなかったり、政党から議員個人が受け取る「政策活動費」の使途を公開する必要がなかったりするなど、様々な問題点が指摘された。
高崎経済大の増田正教授(政治学)は「政治資金の流れを外部から完全に見えるように改めなければ、裏金作りの余地は残ってしまう」と強調する。その上で、「政治家だけではなく有識者らの意見も交え、実効性のある法改正を行う必要がある。誰でも容易に閲覧できるよう収支報告書のデジタル化を進め、抜本的な制度改善を図るべきだ」と訴える。
「令和の政治改革」で、政治とカネを巡る不祥事に歯止めをかけられるのか。自民党の政治刷新本部で本部長を務める岸田首相の本気度が試されている。(おわり)