サイジョウコウホネ Nuphar x saijoensis

植物 > 被子植物 > スイレン目 > スイレン科 > コウホネ属

広島県 2015/9/19
※分布図は目安です。

分布1,3):西日本(本州、四国?、九州)。日本固有。

コウホネとベニオグラコウホネの雑種。広島県で最初に見つかったが、同じような特徴を持つものは西日本の各地にあることが分かっている。柱頭盤が赤くなるのが大きな特徴で、葉は両親種の中間の形態を示す。

サイジョウコウホネの概要

花期6-10月ごろ?
希少度★★★★(稀)
生活形多年生の浮葉~抽水植物
生育環境1)湖沼やため池、河川、水路

サイジョウコウホネの形態

全体

広島県 2015/9/19

水深のある場所では浮葉が中心となるが、浅い場所では水上に葉を出す(抽水葉)場合もある。

広島県 2015/9/19

比較的浅い場所の群落。

広島県 2015/9/19

葉は長さ12-24㎝。
コウホネやサイコクヒメコウホネよりやや小型で丸く、長さが幅の2倍を超えることはない1)

広島県 2015/9/19

コウホネの影響で、ベニオグラコウホネと比べて葉柄が太いことがわかる。

広島県 2015/9/19

花はベニオグラコウホネに似ており、柱頭盤は赤くなる。
この写真のものはやや赤みが弱い。

広島県 2015/9/19

開花後期のもの。

識別

日本には変種・雑種を除いて6種(含めると11分類群)のコウホネ属植物が分布している。
これらのうち、柱頭盤が赤くなるのは本種の他にベニオグラコウホネ、オゼコウホネ、シモツケコウホネである。

ベニオグラコウホネは本雑種の親にあたるもので、本種よりも浮葉が小さく丸い傾向があり、葉柄が細い。また、抽水葉は作らない。

オゼコウホネも浮葉が小さく丸く、また抽水葉は作らない。分布も異なる。

シモツケコウホネは通常水上葉を形成しない点(沈水葉のみ)、葯まで赤くなる点、分布が限られている点などから識別は難しくない。

また、雑種であるホッカイコウホネやナガレコウホネも柱頭盤が赤みを帯びる場合があるが、葉の特徴や分布から通常識別に迷うことはない。

和名国内分布葉の形態柱頭盤備考
変種オグラコウホネ中部~九沈、浮黄色葉柄細く中空
変種ベニオグラコウホネ中国~九沈、浮赤色葉柄細く中空
変種オゼコウホネ北、本沈、浮赤色葉柄中実
変種ネムロコウホネ北、本沈、浮黄色葉柄中実
コウホネ北~九沈、浮、抽黄色本属で最も大型
サイコクヒメコウホネ本~九沈、浮、抽黄色雑種起源で多様
シモツケコウホネ栃木県赤色沈水植物
ヒメコウホネ東海沈、浮、抽黄~橙色全体小型
雑種サイジョウコウホネ本、九沈、浮、抽赤色コウホネ×ベニオグラ
雑種ホッカイコウホネ沈、浮、抽黄~赤色コウホネ×ネムロ/オゼ
雑種ナガレコウホネ栃木県沈、(抽)黄~赤色コウホネ×シモツケ
コウホネ属6種11分類群の特徴まとめ1,2,3)

文献

1)角野康郎 2014. 『ネイチャーガイド 日本の水草』文一総合出版.
2)大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司(編)2015.『改訂新版 日本の野生植物 1 ソテツ科~カヤツリグサ科』平凡社.
3)
志賀隆 2007. A systematic study of Nuphar (Nymphaeaceae) in Japan with special reference to the role of hybridization. 博士論文. 京都大学.

編集履歴

2021/7/8 公開