デビュー10周年を迎え、約6年ぶりとなる写真集『京』(ワニブックス)を17日に発売した芳根京子。同作では、連続ドラマW『イノセント・デイズ』(18)、映画『アーク arc』(21)と2度にわたりタッグを組んだ石川慶監督が企画・プロデュースを務め、“2人の芳根京子”をテーマに新たな表現に挑戦している。

自身が「言い出しっぺ」となって制作したという写真集。今回のインタビューでは、芸能界引退を考えていた時期に救ってくれた恩人・石川監督との関係性や、「今のほうがドキドキする」と話した“作品への責任感”の変化なども、この10年を振り返りながら語ってもらった。

  • 芳根京子 撮影:宮田浩史 スタイリスト:杉本学子 ヘアメイク:イワタユイナ

    芳根京子 撮影:宮田浩史 スタイリスト:杉本学子 ヘアメイク:イワタユイナ

■6年ぶりの写真集は自身が発案「挑戦的な写真集も撮ってみたい」

――デビュー10周年記念写真集『京』が17日に発売されました。約6年ぶりの写真集となりますが、発売が決定したときの心境はいかがでしたか?

この写真集は、実は私が言い出しっぺなんです。前回の写真集が20歳のときなんですけど、去年ふと、“来年デビュー10周年だ……なにかやりたい”と思って。「写真集とかってアリですか?」とマネージャーさんに聞いてみたら、「全然あり! やりましょう!」と言ってくださって、形になりました。

――10周年のタイミングで、なぜ“写真集”という形を選んだのですか?

前回の写真集は、19歳の1年間を撮影していただいたんですけど、ちょうどNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』が決まったタイミングで、大阪に住んでいたんです。なので、メイクさんやスタイリストさんの撮影チームが大阪に来てくれて、等身大の私を撮ってもらって、すごく楽しかったんです。でも、もう少し違うタイプの挑戦的な写真集も撮ってみたいなと気持ちが、どこかにぼんやりあって。10周年はいいタイミングだし、出してみようと! この10年で私が何をやってきた? と考えたときに、お芝居を今までやってきたから、それを反映した写真集ができたらいいなと思ったんです。

■石川慶監督の企画・プロデュースで“二面性”を表現

――それでテーマが“2人の芳根京子”になったんですね。また、裏表紙からも読める作りになっていますが、これは芳根さんが考案されたんですか?

いえ、これは今回、企画・プロデュースを担当してくださった石川慶監督のアイデアなんです。もともと、私のことをよく知る方に写真集に関わってもらいたいと思っていて、制作チームも今までたくさんの現場でお世話になった方にお願いしました。

その中で身近な人にもアンケートをしようという話になって、母親、高校のときの親友、ももいろクローバーZの玉井詩織ちゃん、石川慶監督の4人にアンケートをお願いしたんです。そしたら、石川さんが小説を読んでいるかのようなとても素敵な回答をして下さって! “ぜひ石川さんに関わっていただきたい”とお願いして、今回の作品が実現しました。 そして石川さんから、「女優・芳根京子と、女優にならなかった芳根京子をリンクさせて、二面性を表現したい」と提案していただき、表紙からでも裏表紙からでも読める形になったんです。私自身はこんな高度なアイデアを持っていなかったので、驚いたのですが、できあがった写真集を見たら、今まで見たことのない1冊になったなと。

■恩人・石川慶監督は「私の全てを知っていると言っても過言ではない」

――石川監督とは、ドラマと映画で2度のタッグを組まれています。

『イノセント・デイズ』のときは、撮影の日数はそこまで多くなかったのですが、とても重要な役を任せていただいて。作品自体は楽しい内容ではなかったんですけど、すごく充実した、女優として燃える時間だったんです。それから石川監督と、またご一緒できたら嬉しいな~と思っていたら、『アーク arc』のお話をいただいて、すごく嬉しかったのを覚えています。

ただ、実は当時、“私はこの仕事が向いているのか? このまま続けるのか?”と悩んでいた時期で。「向いていないんだったら、早めに次のことを考えなきゃ!」と思っているときにちょうど、『アーク arc』のお話をいただいたんです。それでお話を受ける前に、石川監督に「私、公開のとき辞めているかもしれない」と、そのとき考えていたことを全部言ったんです。それを全部聞いて受け止めてくださって……。

やっぱり求めてもらうことってすごく嬉しいことなんですよね。そこから約1カ月の間、石川監督と二人三脚で戦って、すごく濃い時間を過ごさせてもらいました。この作品をきっかけに“もっとがんばりたい! もっと遠くまで行ってみたい!” と思えるようになったので、石川監督は私の人生に大きく関わっている恩人。私の全てを知っていると言っても過言ではないですし、家族・マネージャーさん以外にあそこまで負の感情を見せたのは、初めてでした。そもそもあまりネガティブな気持ちを持ちたくないと思って生きているのに、それを他人に見せるというのは、いま改めて考えても、石川さんの引き出してくれる力や器の大きさはすごいなぁと……。

先ほども言った“お芝居がしたい”ということを石川さんに投げかけたら、“えっ! これが世に出ることないの!?”と思ってしまうくらい、すさまじいシナリオを書いてくださって(笑)! 後半部分の「女優・芳根京子」では、そのシナリオをもとに撮影をしました。